張継の七言絶句の名作「楓橋夜泊」を解説します

中国の漢詩
中唐の詩人、張継のあまりにも有名な七言絶句の「楓橋夜泊」を紹介します。晩秋の寒々とした夜の景色を詠った名作です。

張継の「楓橋夜泊」の内容は

楓橋夜泊の原文は次のようなものです。

楓端夜泊 長継

月落烏啼霜満天

江楓漁火対愁眠

夜半鐘声到客船

姑蘇城外寒山寺

楓橋夜泊の読み方

次の読み方が一般的でしょう。

月落ち烏(からす)啼いて霜天に満つ、

江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対す。

姑蘇(こそ)城外寒山寺、

夜半(やはん)の鐘声(しょうせい)客船(かくせん)に到る。

楓橋夜泊の意味

月は沈んであたりは闇につつまれ、カラスが鳴いて霜が降り注ぎそうな空

川岸の楓と漁火が船の外で輝いているが、私は旅の途中の船の中で寝付けなくて過ごしている。

姑蘇(こそ)城の郊外にある寒山寺から

夜中を告げる鐘の音が船で寝ている私のところまで響伝わる。

張継の「楓橋夜泊」の解説は

最初にこの詩の平仄と押韻を調べておきます。仄と書いたのは仄字、平と書いたのは平字です。また1句、2句、4句の行末の先は平字の先という分類です。これが韻を踏んでいることになります。

天  仄 平 平仄先

愁眠  平 平 仄平先

寺  平 平 平

客船  仄 平 仄仄先

韻の踏み方も教科書的です。各句の2字目、4字目の韻を違えること、2字目6字目を韻を合わせることも守られています。

またそれぞれの2字目、6字目が仄→平→平→仄という風につながり、1句から2句目が反法と言って反対になります。2句から3句が粘法と言って同じつながり、3句から4句が反法というつながりとなっています。4字目も平→仄→仄→平となっていますが、同じつながりですね。

七言絶句の形式をすべて踏まえたお手本のような詩です。しかも日本語、中国語で読んでも読みが良い詩だと言われています。

長継の「楓橋夜泊」の鑑賞は

楓端夜泊 長継月落烏啼霜満天  江楓漁火対愁眠姑蘇城外寒山寺  夜半鐘声到客船

この詩はどう眺めても良い作品ですが、敢えて解説していきましょう。最初の起句は白黒の世界です。全く黒に霜の白が想像されるだけです。しかも空全体を描いています。

承句になって、地上の情景を描きます。起句と違い楓、漁火の赤が暗い空と対比を見せています。旅人である作者は孤独なのか思い悩むことがあるのか眠れない夜を過ごしています。

転句からは色はなくなってきます。この詩の環境を描いています。作者は姑蘇のほとりの川辺にいるのですが、そこの郊外にある寒山寺から鐘の音が聞こえてくるのです。起句で描かれた烏啼と鐘声が対比をなしているのでしょう。

楓橋夜泊の寒山寺とはどこのこと

中国の上海市の傍の蘇州市にあります。

楓橋夜泊の作者の張継とはどんな人でしょう

生年は不詳ですが、753年の進士で、検校祠部郎中、塩鉄判官などをつとめ公正な政治家だったと言われています。没年は779年と言われています。

張継の七言絶句の名作「楓橋夜泊」のまとめ

余りにも有名な楓橋夜泊を紹介しました。晩秋から冬にかけて味わうにはぴったりの詩ですね。夜にこんな詩を味わってみるのも良いかと思います。

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